【インプ・ガールズ-小悪魔な少女達-】第07話

 その日も紗希(さき)はジュニア向けのショップ、そのショーウィンドウの前にいた。

 買いたいものがあるが、高くて手が出せない。

 溜め息をついたとき、

「南條(なんじょう)さん」

 と声をかけられた。

 声がした方に顔を向けると、そこに立っているのは華蓮(かれん)である。

「三上(みかみ)さん」

「華蓮でいいわよ」

 華蓮は美しい顔に笑みを浮かべて言う。

「あたしも、あなたのことを紗希って呼ぶから」

 そう紗希に告げた後、華蓮は「ねえ」と言葉を続ける。

「紗希って、お金が欲しいんじゃない?」

 ハッキリと言う華蓮。

 華蓮からそう言われた紗希は、「まあね」と言葉を返して視線をショーウィンドウに戻す。

「じゃあ、アルバイトしない?」

 紗希は「アルバイト?」と首をかしげる。

「私たちの年齢じゃ、アルバイトなんかできないでしょう?」

「それがあるのよ、あたしたちの年齢でもできるアルバイト。あたし、それをやっているの。よかったら、紗希もやってみない?」

 そう言って華蓮は1枚のメモを差し出す。

「難しいアルバイトじゃないわよ。もし興味があるのなら、明日、ここに来て。あたしの紹介って伝えれば通じるわ」

 紗希は差し出されたメモを受け取る。そこに書かれているのは、撮影スタジオとして使われているマンションの住所だ。

「かなり稼げるアルバイトよ」

 紗希にメモを渡した華蓮は「じゃあね」と告げて、彼女の前から去っていく。

 どんなアルバイトなのか、紗希は気になった。そして、明日どうするかを考える。

◇◇◇

 翌日、紗希は華蓮から受け取ったメモに記されている場所へと向かっていた。

 高級マンション……住所が間違っていないことを確認すると、オートロックのコンソールを操作する。

 テンキーで番号を入力すると、通話用のモニターに青年の顔……秋彦(あきひこ)の顔が映った。

『どちら様かな?』

 そう聞かれた紗希は、

「あの、私、三上華蓮さんにアルバイトの紹介をされて……南條紗希っていいます」

 秋彦にそう告げる。

 モニターに映る秋彦の顔に、笑みが浮かぶ。ハンサムな彼の笑顔を見て、紗希はドキリとした。

『キミか。華蓮から聞いているよ。最上階に来てくれるかな』

 オートロックのドアが開く。

 紗希は中に入り、エレベーターに乗って最上階のボタンを押した。

 最上階に到着すると、部屋のドアの1つが開いて秋彦が顔を見せた。

「南條さん、こっちだよ」

 そちらに向かった紗希は、「あの」と秋彦に声をかける。

「どんなアルバイトなんですか? 詳しいこと、聞いていなくて」

 紗希は秋彦に尋ねた。

 秋彦は彼女に笑顔を向け、

「先に自己紹介をさせてくれ」

 と告げる。

「俺は秋彦、工藤秋彦。そうだな……社長みたいなものだ。よろしく、南條紗希さん」

 それから部屋の中に入るように手で示す。

「どんなアルバイトかは、見てもらったほうが早い。今、華蓮がそれをやっている最中なんだ」

 部屋の中からはアップテンポの音楽がかすかに聞こえる。

 紗希は部屋の中に入った。

 秋彦は彼女を、部屋の中の一室に案内する。

 案内された一室に入ると、紗希は驚いた表情を顔に浮かべた。

 そこには小さなステージが設置されている。ステージの上にいるのは華蓮だ。

 華蓮は全裸である。なにも身に着けていない。そして、彼女の前にはビデオカメラを構えた数人の男がいる。さまざまなアングルで全裸の華蓮を撮る男たち。

 華蓮は美しい顔に笑みを浮かべ、ミュージックプレイヤーから流れているアップテンポの音楽に合わせて踊っている。

 ステップを踏みながら半ターンし、ビデオカメラを構えている男たちに背を向ける華蓮。

 華蓮は尻を突き出すと、音楽に乗せて左右に振る。肩越しに見える彼女の顔には、楽しそうな笑みが浮かんでいた。

 この部屋には、カメラマン以外にも男がいる。それでも恥ずかしがっている様子を見せない華蓮に、紗希は驚いてしまう。

「アルバイトの内容は……」

 驚いている紗希の顔を見ながら秋彦は言う。

「キミのヌードを撮らせてほしいんだ」

 紗希は視線を全裸で踊る華蓮から秋彦に向け、

「ヌ、ヌードですか?」

 と聞き返す。秋彦は笑顔で「そう」と頷(うなず)いた。

「キミにはネットで配信する作品のモデルになってほしいんだ。ヌードでね」

 華蓮から自分たちの年齢でもできるアルバイトがあるとは聞いていた紗希だが、まさかヌードを披露するアルバイトだとは思っていなかった。

「キミは可愛いから、人気が出そうだ」

 紗希の戸惑いをよそに、秋彦は言葉を続けた。

「どうだい? やってみるかい?」

 紗希は少し考えた後に「あの」と秋彦に聞く。

「アルバイト料って、いくらもらえるんですか?」

 ヌードモデルのアルバイト、それをやるか否かはアルバイト料次第だ。

「1回のヌード披露で……」

 秋彦は人差し指を立てる。

「1万円だよ」

「えっ!?」

 紗希はまた驚いてしまう。

 秋彦が示したアルバイト料は、紗希からすればかなりの金額だ。

「1回で、ですか?」

「そう、1回ヌードモデルをやってくれれば1万円払うよ」

 紗希は考える。多くの男の前で裸になるのは、さすがに恥ずかしい。

 しかし、その恥ずかしさをガマンすれば1万という金額を得ることが可能だ。

「いきなりヌードは恥ずかしいだろうから、最初は下着まででいいよ」

 秋彦がそう言っている間、紗希がどうするか考えている間、華蓮は全裸で踊りを続けている。

 紗希は決意した。

「やります。ヌードモデルのアルバイト、やります」

 決意した紗希は秋彦にそう告げていた。

◇◇◇

 華蓮の撮影は終わり、次は紗希の番であった。

 白いブラウスに紺色のフレアミニスカート、紺色のオーバーニーソックスという格好の紗希は小さなステージの上に立つ。

 ビデオカメラを持つ男たちが、それを構えて紗希に向ける。

 カメラマンたちや他の男性スタッフの目を意識すると、紗希は恥ずかしさを感じて頬を少し赤くさせた。

 撮影が開始される。

「じゃあ最初は……」

 秋彦は紗希の姿を見ながら指示を出す。

「ブラウスを脱いでくれるかな」

 言われて、紗希は「は、はい」と頷いてブラウスに両手を伸ばした。

 ボタンを上から順に1つずつ外していく。ボタンが外れていくにつれ、ジュニアブラが見えてくる。

 華蓮と違って、紗希の胸にはもう確かな膨(ふく)らみがある。

 着用しているジュニアブラは、スタンダードタイプのものだ。

 スタンダードタイプのジュニアブラの色は、薄い水色であった。

 カップとカップの間をピンク色の小さなリボンが飾っている。

 すべてのボタンを外した紗希は、少しためらいを見せた後にブラウスを脱いだ。

 上半身、ジュニアブラだけになる紗希。ブラウスを足元に落とした紗希は、秋彦たちの視線やビデオカメラが胸に向いているのを感じた。

 紗希は頬をさらに赤く染め、両腕で胸を隠す。そんな紗希に、秋彦は笑みを投げかける。

「隠さないで見せてくれるかな」

 そう言われた紗希だが、すぐには胸から腕を離せない。

 深呼吸して、ためらいながら胸から腕を放す紗希。

 薄い水色のジュニアブラが露(あら)わになる。

 カメラマンの1人は、ジュニアブラで包まれている紗希の胸をアップで撮った。

 紗希の胸は、もう成人型の乳房になっているのが分かる。

「それじゃあ次は……」

 秋彦は次の指示を出す。

「スカートを脱いじゃおうか」

「は、はい」

 緊張気味に答え、紗希はミニスカートに手を伸ばした。

 脇のホックを外し、ファスナーを下げる紗希の手。ミニスカートが、ストンッと足元に落ちる。

 露わになったショーツの色は、ジュニアブラに合わせて薄い水色であった。

 下着姿になった紗希は、顔を真っ赤に染めてジュニアブラで包まれている胸とショーツを腕で隠してしまう。

「隠さないで。可愛いよ」

 秋彦は顔に笑みを浮かべながら言う。

 紗希は視線をさまよわせた後に、胸とショーツから腕を離した。

 薄い水色の下着姿になった紗希は、秋彦の指示でさまざまなポーズをとっていく。

(この子も、かなりの人気が出そうだな)

 ポーズをとる紗希の姿を見て、秋彦はそんなことを思った。

◇◇◇

 撮影スタジオがあるマンションから外に出た紗希に、

「紗希」

 と華蓮が声をかけてきた。

 歩み寄ってきた華蓮は、

「アルバイト、どうだった?」

 そう紗希に問う。

 紗希は「恥ずかしかった」と答えた後、「でも」と言葉を続ける。

「恥ずかしいのをガマンすれば、1万円もらえるから悪くないわね」

「またやる?」

「明日……またやることになっているわ」

 華蓮は美しい顔に笑みを浮かべ、「恥ずかしいのは最初だけよ」と告げる。

「すぐに慣れるわよ」

「そうかしら?」

 疑問を返す紗希に華蓮は「そうよ」と言葉を返していた。

●ロリータ小説へ

●トップページへ

コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です